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温暖化対策とサステナブル社会の両立 JAPAN WOOD PROJECTの取組み

2021.8.29

地球環境の温暖化対策とサステナブル社会実現のために、弊社ではJAPAN WOOD PROJECTという活動に取り組んでいます。この活動は、木造建築業と深く関わる森林・木材業とによる業界横断プロジェクトです。

国内の森林を適正に循環させ健全に保つことで、CO2の排出を抑制し自然環境の維持と経済的サプライチェーンの持続を両立させるものです。
今年5月以降に報道が目立ち始めた、ウッドショックによる世界的な木材供給不足の問題解決にも有効な施策として、最近では新聞やテレビのニュースでもこのJAPAN WOOD PROJECTの活動を取り上げていただく様になりました。

温暖化対策とサステナブル社会の両立 JAPAN WOOD PROJECTの取組み

 

温暖化対策は待ったなし

今年8月9日、世界各国から推薦された科学者で構成する国連の「気候変動に関する政府間パネル」(通称:IPCC)は、人間が地球の気候を温暖化させてきたことに「疑う余地がない」とする報告を公表しました。(※IPCCとは)

報告は3年ごとに行われ、前回2018年の調査報告よりもずっと踏み込んだ表現で示された気候変動による人類への危機は、いま行動に移さなければ本当に間に合わなくなる、という予測がいくつものデータで示されています。

例えば、グリーンランドでは、巨大な棚氷がわずか15年間で約100mも低くなっているなど、この勢いで進めば、海面上昇による陸地の浸食で私たちは住むところを追われることになります。

 

JAPAN WOOD PROJECTとは

アイジースタイルハウスでは、母体企業のアイジーコンサルティングが、創業当初より木造建造物の保守による長寿命化を実施してきましたが、これと同じ想いで実現したものが、「JAPAN WOOD PROJECT」(以下、JWP)です。

 

現在、以下の様な国内の森林活用に絡む問題があります。

  • 建築業界の木材需要がタイムリーに木材供給側に届かない「需給のミスマッチ」。
  • 価格の安い輸入木材に押された森林・木材業界体の衰退による「地域経済の衰退」。
  • 無計画な樹木伐採での森林破壊による「地球環境の悪化」と「ふもと地域への水害拡大」。

(水害拡大というのは、森林の保水機能が乱伐によって低下し、山からふもとに流入する水量が増えることによるものです。)

 

これらの諸問題を、国土の約7割を占める自国の森林に目を向けることで解決しようという試みです。

 

【JAPAN WOOD PROJECT についてはコチラから】

 

国土の約7割を占める自国の森林

 

温暖化対策とJAPAN WOOD PROJECT

JWPでは、アイジースタイルハウスの手掛ける新築木造住宅に、国産材のヒノキ材をふんだんに使用することで、上記の問題解決に取り組むものです。

では、この活動がどの様に温暖化対策となるのでしょうか?

 

それは、温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を抑制できる点です。そして、これには二つの視点によるものがあります。

一つは、輸入材と比較した輸送燃料の少なさによるもので、もう一つは、木材が持つ炭素の固定量によるものです。

 

まず、輸送燃料の少なさについて。

国産材の場合、輸入材と比べ圧倒的に移動距離が短いため輸送用の燃料が少なくて済みます。これが、燃料使用時に排出されるCO2を圧倒的に削減できることにつながります。

木造住宅の木材輸送過程CO2排出量出典(一般社団法人ウッドマイルズフォーラムウェブサイト)

 

例えば、上のグラフでは、木造住宅の全ての木材を地域材(=国産材)とした場合、全て欧州(=輸入材)とした場合と比べ、約4トンものCO2削減に貢献することが示されています。

年間に何万棟と建てられる国内の木造住宅ですから、全体の削減量でみればとても大きな値ですね。

 

次に、炭素の固定量です。

炭素は、CO2を構成する元素の内の一つです。炭素をその素材内に固定して空気中に排出しない木材は、その固定量に応じた二酸化炭素(CO2)の排出の抑制になります。この時、固定された炭素量をCO2に換算すると、約3.6倍の量に相当します。つまり、木材自身がかなり効率的な温暖化抑制のマテリアルだと言えます。

では、国内の木造住宅の木材によるCO2排出抑制量を計算してみましょう。

国内の木造住宅1棟の平均的な木材使用量は約25㎥です。そして、木材の炭素固定量はその木材の重量の約半分(50%)です。ここで、使用する樹種を弊社が多用している国産木材のヒノキとします。ヒノキの容積密度は407㎏/㎥ですので、以下の様な計算となります。

 

【ヒノキ材の木造住宅1棟分とした場合】

・木材重量

25㎥ × 407㎏/㎥ = 10,175㎏・・・①

 

・炭素固定量(=木材重量の約半分)

① × 1/2 ≒ 5,088㎏・・・②

 

よって、排出CO2の削減量は、② × 3.6 ≒ 18,317㎏、つまり約18トンに及びます

 

ここで、先の輸送燃料による削減量4トンを加えると、(ヒノキ材の)木造住宅1棟分の地球温暖化抑制効果は約22トンという大きなものになることが分かります。

 

サステナブル社会とJAPAN WOOD PROJECT

最後に、サステナブル社会の実現性についてです。

現在の国内の森林・木材業界が、輸入材に押されてどんどん低迷し、業界自体の縮小化と高齢化が激しく進み、継承者も確保できないという厳しい状況にあります。国レベルの深刻な問題ですが、実は建築業界でもほとんどその認識が無かったのが実情でした。しかも、その認識の低さは、今回のウッドショック問題が浮上するつい最近までのことです。

運良く(?)、弊社はそれ以前にその様な森林・木材業界の実態と問題を知るところとなり、森林・木材業界と関わりの深い建築業界に身を置く私たちができることは無いか?と考え始めたことが、このプロジェクト発足のきっかけでした。

とは言っても、大手ハウスメーカーの様に資金やインフラがある訳でもなく、アイジースタイルハウス一社だけでできる事は限られます。そこで、これまで信じられらないほど長年に渡って情報共有のなかった森林・木材関連業者と我々建築業者が協力し合い、一気通貫の体制を作ることにしたのです。具体的には、木材の伐採から現場での使用に至るサプライチェーン(供給体制)の川上から川下まで、需給の量や時期などの情報を共有することで、関わる全ての会社で需給のバランスを取り、木材の無駄な伐採や不足になりがちだった従前のスタイルを改善する仕組みを構築しました。

JAPAN WOOD PROJECTによる木材供給体制のイメージ

 

この仕組みによって、サプライチェーンの最前線である森林所有者は、必要とされる分の木を安心して伐採でき、収入の安定にもつながるため、森林を計画的に手入れすることにもなります。計画的な森林整備は森林を健全に維持することとなり、温暖化の抑制やふもと地域の水害拡大の防止につながります。また、サプライチェーンの各工程に位置する各社も、自社業務の準備を計画的に進めることができ、私たち建築業者も安心して木材の発注できる様になる訳です。そして最終的には、お施主様も希望通りの期日に住宅を完成させることができます。

 

この仕組みを回し続けることで、森林の手入れが行き届き始めれば、健全な森林循環が復活し、森林の炭素の固定によって温暖化が抑制され、サステナブルな地球環境に貢献できます。また、この仕組みに関わる業者、業界で適正な経済循環が起こることで、人の暮らしが豊かになり、地域経済の活性化も実現できます。

 

木造住宅は長寿命であること

最後に、大事なことをお伝えします。

それは、「木造住宅は長寿命であること」というものです。

なぜかというと、先に木材は、炭素固定によるCO2排出の抑制効果がとても大きいことを述べました。という事は、その効果をより高めるには、その状態を長く続けることが重要になります。木造住宅に留めた炭素はいつかは排出されることになりますが、それは、人間の全ての生存活動において同じです。それならば、なるべく炭素の固定期間は長い方が温暖化の抑制には効果的だということです。

国内の木造住宅の寿命は、残念ながら先進国の中では未だ最低レベルです。寿命を長くするには、長期的な経年劣化や地震の様な短期的なリスクに対策を講じ居住空間が快適である必要があります

 

これから、夢の我が家を建てようとするあなたには、ぜひその様な家づくりをして欲しいと心から望みます。

豆知識くん

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