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ウッドショックとは? 建築木材が足りない!?

世界的な建築用木材不足が問題となっている「ウッドショック」

業界内だけでなく、住宅建築を計画中の一般の方にも影響が出てきています。弊社でも、少し前からお客様からのお問合せが出始めています。

これに対し、これまで低迷してきた国内の木材活用を促進すれば、ウッドショックを解決し、さらに持続可能な社会を実現するサスティナビリティにも貢献できるのでは?との意見もあります。しかし、現実には様々な事情の違いにより、そう上手くはいかない様です。

今回は、このウッドショックの概要のご説明とその対策にもなっている弊社の取り組むサステナビリティに関わる活動のお話しです。

建築木材が足りない!?ウッドショックとサステナビリティ

 

ウッドショックとは

先の通り、昨今の世界的な建築用木材不足の問題をウッドショックと呼んでいます

国内では、今年2021年の3月ごろには建築業界で問題視され始めていましたが、実際によく耳にするようになったのは5月の大型連休明けです。

ウッドショックが世に知られるところとなったのは、連休明けからマスメディア各社の報道が増えたためですが、この問題にいち早く影響を受ける木材業界では、昨年から警告を出していたそうです。

しかし、行政はそういった声に応えてこなかったこと、年が明けてもマスメディアの報道がなかったことなどから、世界規模で影響するこの大きな問題をなかなか知ることができなかったということです。

これは、今年3月、21カ月ぶりに新設住宅着工戸数が増加に転じるという事実が、景気にとって好材料となる行政と、ウッドショックで悪影響を受ける大手住宅メーカーがスポンサーとなっているマスメディアそれぞれの思惑が働き、あまり都合の良くない事態への対策や報道には消極的だったのではないか?と疑わせます。

 

木材業界からの警告は、昨年夏ごろから木材の輸入量が目に見えて減っていたため、このままではせっかく国内の建築需要があっても、その材料となる木材を供給できなくなると懸念したためでしょう。

グラフから一目瞭然の通り、2020年6月と比べた2021年3月の集成材(一般的な木造建築の主要資材)の輸入量は、40%近くも落ち込んでいます

輸入量激減の理由は、日本の商社が他国(主にアメリカ)の高い買付金額に競り負けしているからです。

国内の建築需要があるなら、高値で買えば良いではないかと思うかもしれませんが、関連業界ごとの事情によってそうはなっていないのが現状です。これについては、もう少し後で述べます。

 

ウッドショック発生の原因

目先の原因

次の2つが最も大きな原因です。

一つ目は、コロナ禍による在宅時間の増加により、特にアメリカでの住宅建築需要が急増したことです。これは、政府による低金利政策も拍車を掛けました。

その為、世界からアメリカに建築用木材が集中し、日本の材木輸入に影響が出ているということです。

実際、今年2月にはニュースとして報道されており、今回の騒動を予感させる内容になっています。

建築木材を買い占めるアメリカ

 

二つ目は、中国による荷物運搬のためのコンテナ買い占めです。これは、国内のコロナ感染を抑え込めてきたことで経済が回復し始め、輸出用にコンテナを買い占めていることです。

こちらも同じく2月に報道されていました。

 

これらが原因で、国内への木材輸入がままならないのは確かで、輸入材木頼みの日本の建築業界が騒いでいます。

 

真の原因

しかし、本当はアメリカや中国の動向が真の原因ではないと考えます。なぜなら、日本は国土の大半を森林が占める森林国家で、自給自足による循環型の業界でありさえすれば、本来、こんなことにはならずに済んだからです。ところが、実際には国内の森林の手入れもそこそこに、運賃を含めても安い海外からの輸入材に頼っていたという現実があり、そこに今回のウッドショックによって価格が高騰、輸入材の価格的なメリットがなくなり、買付価格では競り負け、買い付けたとしてもコンテナを手配できず、結局国内には供給できないという状況となっています。

つまり、真の原因は、戦後の早急な住居確保という社会課題に応えるため、何十年も掛かる国内の樹木の成長は待っていられず、急速な経済成長によって得た国際競争力にものを言わせ、海外の安い木材を大量に輸入することで対応してきた国内の資材供給体制と、それに乗ってきた建築業界の体質が真因と言えるのではないでしょうか?ということです。

 

国産材の動き

これまでの状況を考えれば、木材不足の対策としては国産材活用にシフトすることが容易に想像できます。

ところが、冒頭で述べた通り国産材の供給もそう上手くは行かない様です。なぜなら、今回の木材不足という情勢変化は、コロナ禍という非常にイレギュラーで限定的なことが原因であることが明確だからです。

 

どういう事かというと、この限定的な原因はいつか無くなります(多分…)。すると、世界的な規模で経済が元に戻り始め、木材の需要もまた元に戻ることが予測できます。そうなると、ウッドショックへの対策として国産材の増産やその為の設備投資は、アフターコロナの時代には、一気に余剰在庫や負債となってしまい、大きな打撃を受けるリスクとなります。そう考えると、うかつに増産や投資ができないという事です。これは、競り負けて国内に輸入できない問題より、アフターコロナで木材が売れ残るリスクを避けたい商社が、海外の木材に高値を付けてまで買い付けないことも同じです。

 

しかも、国内の木材産業は、これまでの海外からの輸入材の影響で危機的なほどに衰退しており、その下支えのために国が用意した補助金制度が絡みます。

これまでは、需要の少ない建築資材への活用が望めないため、環境保全にも関わるバイオマス発電の燃料に使う場合に支給するなどの補助金制度なので、林業の川上に位置する業者は、高い補助金が出る方に木材を供給したがり、安値で取引される建築業界には回ってこないという内情もあります。

バイオマスに回される木材

そして、これまでは輸入材に対抗するための価格だった国産材も、今回の件で一気に注目度が上がり、製材業者や卸会社など流通業者による買い占めも散見される様になり、国産材の価格も高騰してきています

 

 

住宅建築をお考えの方へ

そう遠くない将来に終息するだろうと予測しつつも、予断を許さないこの状況では、とにかく正しい情報の収集といつでも動き出せる準備をしておくことが大切です。

少なくとも、「近い内に値上がり必至なので、すぐに契約した方が良い。」という様なお話を簡単に受け入れないことです。

まずは、希望するわが家の完成期日から逆算した契約の時期を算出し、その頃のウッドショックによる影響がどうであれば、契約内容の何がどう変わるのかを建築会社とともに共有することです。そうすることで、建築計画が安全に進む可能性を大きくしておくのです。

 

もちろん、そのためには信頼できる建築会社というパートナーが必要です。それには、少しでも疑問があれば、遠慮なく何でも聞くという姿勢がとても重要になります。言ってしまえば、住宅建築を実現する為の順番待ちにきちんと並んで待つということです。

住宅建築の打合せ

 

アイジースタイルハウスのサスティナビリティ

さて、最後になってしまいましたが、今回のウッドショックにも一定の対策となっている当社の取組みをご紹介させてください。

 

それは、地域に根付く木材関連業界の活性化による、地域木材の適切な資源循環の仕組みを実現しつつある、JAPAN WOOD PROJECTという活動です。

 

これは、弊社の本社がある静岡県浜松市が誇る、日本の人口三大美林の一つ「天竜の木材」を使い地産地消で循環する仕組みです。森林の所有者である林家を始め、木材市場、製材会社、乾燥・加工会社、卸会社、そして建築会社からお施主様に至るまで、木材と建築に関わる全ての関係者が一丸となって構築するものです。

JAPAN WOOD PROJECT紹介動画

かねてより実態のあるサステナブルな取り組みを考えていた弊社が、2年前から始めたもので、早い段階で実務レベルの活動にすることができました。その甲斐もあり、昨年はグッドデザイン賞にも選んでいただきました

 

この国産材を有効活用するという取組みは、一定量の国産材を確保するものでもあったため、今回のウッドショックの状況下にありながら、11月中までに上棟されるお客様には影響なく計画を進めていただけるという効果もありました。

 

それであっても、木材不足の状況は深刻です。JAPAN WOOD PROJECTの様な取組みをしている弊社であっても、全く影響を受けずにいられることは無いでしょう。だからこそ、わが家の建築をあきらめるのではなく、ちゃんとした順番に並んで待つことが最も正しい姿勢となります。

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