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エコハウスの概観 冷暖房設計編【エコハウスシリーズ】

/ 家づくりのレシピ /

松尾式エコハウスで大切な設計ポイント3つを前回の記事で掲げました。

今回の記事では、その要素の内「適切な冷暖房設計」について概観していきます。

適切な冷暖房設計は、夏用と冬用に設ける各1台のエアコンと熱交換式第1種換気設備で行います。建物のエコハウスとしての性能を最も実感することができる要素であるため、エコハウスの設計ポイント3つの中で、最優先事項となります。また、効率の良い冷暖房効果により空調費を抑えられる上、今までの様な1室1台のエアコン設置が不要となるため、工事費も抑えられます


【エコハウスシリーズ】

①「エコハウスで木造住宅のスタンダードを目指す」

③エコハウスの概観 パッシブ設計編

床下エアコン

 

 

適切な冷暖房設計

具体的には、次の3つの項目を実施します。

①床下エアコン
②小屋裏エアコン
③第1種換気方式

 

①床下エアコン

冬季の空調計画として、床面よりも少し下がった位置にエアコンを設置します。このエアコンから1階床下に効率よく温風が吹き込みます。この温風は、床下の撹拌機によってまんべんなく1階床下全面に拡散し、床面を温めると共に各部屋の床面に設置したスリットを抜けて各部屋も暖めます

床下エアコンは、専用の機器ではなく家電量販店で販売している一般家庭用の壁掛け式ですので、特に設備機器の費用が上がる訳ではありません

 

②小屋裏エアコン

夏期の冷房計画として、小屋裏(屋根裏)にエアコンを設置します。このエアコンからの冷気は、同じく小屋裏に設置したファンによってダクトを通じて送られ、各部屋を冷やします

小屋裏エアコンも、床下エアコン同様一般家庭用壁掛けエアコンです。

 

③第1種換気方式

室内の換気方式で、給気も排気も機械式ファンによってコントロールする第1種換気設備を採用します。

各種換気設備の給排気方式の違い

住宅の換気設備の種類はあまり耳にしたことが無いかもしれませんが、これらの換気方式は、住宅に換気設備を設置することが義務付けられた2003年7月以降、標準的な換気設備として認知されています。

 

以前は第3種換気が一般的でしたが、高気密高断熱による建物の高性能化に伴い、給排気をコントロールできる方式として第1種換気が注目を浴びる様になってきました。またエコハウスでは、効率的な冷暖房による室内の快適な温熱環境を、換気によって大きな室温変化を起こさない様、室温を給気する空気の温度と交換した上で取り入れられる熱交換式の第1種換気設備としています。

熱交換の有無による換気時の室温

 

 

エアコンで冷暖房計画をする理由

効果的な冷房機器には、エアコン一択で異論はないと思いますが、暖房機器となると即効性や持ち運びに有利なエアコン以外の機器もあります。しかし、エコハウスでは冷暖房の両方をエアコンでまかなう様設計をします。

その理由は次の通りです。

 

①1台で冷房と暖房に使える

冷房も暖房も1台でできる機器としては、エアコンが唯一の選択肢です。しかも、エコハウスでは1台のエアコンで家中を冷暖房するため、コストパフォーマンスにも優れます

 

②暖房機器として抜群のコストパフォーマンス

冷暖房機器を様々な観点から見た場合、優れた性能や特性をバランスよく持っているのがエアコンです。

表の通りエアコンは、灯油やガスなどの化石燃料系の機器では避けられないCO2の排出が無いため、室内の空気質をクリーンに保ち、COP4(※)のエアコンであれば単価も最安となり、電気ストーブなど電気自体を熱に変える機器のわずか4分の1(25%)のコストで済みます。

※→COP=4とは消費した電力の4倍の熱量を生み出すことができるという意味です。

 

断熱性能を上げるか?熱交換器を設置するか?

換気設備については、わざわざコストを掛けてまで熱交換式にする必要があるのか?もっと断熱性能を上げれば、その必要はないのでは?と疑問をお持ちになったかもしれません。しかしこれも、次の様な理由があります。

 

①断熱性を高めるよりもローコスト

エコハウスでは、断熱性能における基準をHEAT20 G2グレードとしています。これには更に高い断熱性能基準G3グレードがありますが、断熱性能をこのG3とし換気方式をこれまでの一般的な方式である第3種とした場合と比べると、明らかにコストの差が出ます。

出典:東京理科大学 理工学部建築学科 高瀬研究室youtube

この表の通り、断熱性能をHEAT20 G2グレードで換気設備を熱交換式とするとプラス20万円の出費で済みます(表の左端と右端の比較)。これを、G3グレードに断熱性能を上げ換気設備は熱交換式にしないでおいたとしても、断熱性向上費用にプラス200万円必要で、単純に工事費が180万円も違ってきます(表の中央と右端の比較)。

ちなみに、余分な工事費を掛けない選択肢として、G2グレードの断熱性に熱交換式ではない換気設備とすることも可能ですが、その場合、換気による屋外への熱損失を賄うためにエアコンによる暖房が必要となり、グラフの通りエアコン投入熱量の多さから電気代の高騰を招くため、これも得策ではありません。

この様な理由から、エコハウスとしてはHEAT20 G2での断熱性能と換気設備の熱交換式による仕様が最適と言えます。

 


次回は、エコハウスの第二優先項目「太陽に素直な設計」についてです。どうぞ、お楽しみに!

 

【エコハウスシリーズ】

①「エコハウスで木造住宅のスタンダードを目指す」

③エコハウスの概観 パッシブ設計編

設計者ブログ「松尾式エコハウス実現に向けて本格始動」

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