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ZEHは、省エネ、健康、快適性の指標

2019.1.31

マイホーム取得をお考えの方であれば、ZEH(ゼッチ)という言葉を耳にした事はありませんか?

ZEHとは、国が掲げる省エネ目標を実現するために「建物に求める性能と実施方法」を定めた省エネ基準で、公的な認定を受けることで複数の省庁の支援策による補助金を受けられます。

主に3つの観点で基準が定められ、現在の省エネ基準を上回る断熱性能も求められています。これにより、ZEHは、建物の省エネ、住む人の健康、快適性を向上する一つの指標となる国の基準とも言えます。

ZEHの基準をクリアすることで、建物の消費エネルギーを減らし、季節の寒暖による影響が少ない室内環境も実現できるので、ヒートショックや熱中症など身体的ダメージをが減り、健康増進にも貢献します。

ZEHは、省エネ、健康、快適性の指標

 

1.ZEH策定の背景

もともと、国がこのZEHと言う基準を定めた背景には、「地球温暖化対策」と言う国際的な取組みの一環と言うことがあります。

つまりZEHとは、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」で定めた、各国の温室効果ガス排出の削減目標を実現するための施策のひとつです。

パリ協定ではこの温室効果ガスの削減という目標を、エネルギー消費の削減によって実現しようとしています。

国内の全消費エネルギー中、家庭部門が占める割合は約15%あるため、有効な施策を講じれば一定の削減効果が得られると考えられました。そして、一般の住宅においての温室効果ガス削減の手段として、断熱性能など一定の基準をクリアした住宅によって省エネを実現しようとしたものが、このZEHという基準です。

ZEHは、現在の省エネ基準に対して上位の基準になります。なぜなら、現在の省エネ基準は、パリ協定の目標など到底達成できないほど低い基準であるため、それに見合うレベルを定めざるを得ないことから策定した基準だからです。

 

2.ZEHを満たす3つの対策

ZEHを満たすには、次の3点において対策が必要となります。

(1)高断熱でエネルギーを極力必要としないこと。
(2)高性能設備でエネルギーを上手に使うこと。
(3)エネルギーを創ること。
(参考:省エネルギーについて(経産省HP))

上記の通り、ZEHを満たす条件としては、エネルギー消費を0(ゼロ=無し)にすることは現実的には不可能なため、消費エネルギー以上のエネルギーを創る(=創エネ)ことで、消費エネルギーをプラスマイナス0以下にするという、トレードオフの関係による仕組みです。

 

(1)高断熱でエネルギーを極力必要としないこと

建物自体の高断熱化することで建物内外の熱の出入りを抑えることができます。これにより、冷暖房等の消費エネルギーの削減を実現します。

ZEHによる建物の高断熱化で省エネ

 

(2)高性能設備でエネルギーを上手に使うこと

例えば、白熱灯を蛍光灯やLED照明にしたり、一般的な給湯器からエコキュートやエコジョーズなど、エネルギー効率の高い設備を使用することで、消費エネルギーの削減を実現します。

ZEHによる設備の高効率化で省エネ

 

(3)エネルギーを創ること

太陽光等の発電システムにより、エネルギーを創ることで消費エネルギーの正味0を実現します。

ZEHによる創エネ設備で省エネ

寒冷地、低日射地域、多雪地域などでは実現困難な場合もあるため、一定の基準をクリアした住宅には、消費エネルギーの削減率が正味75%以上の省エネでも良しとする扱いもあります。この場合は、ZEHと区別してNealy ZEH(ニアリーゼッチ)と呼びます。

ちなみに、都市部狭小地(敷地面積85㎡未満など諸条件あり)で一定の基準をクリアした住宅には、この「エネルギーを創る」という項目が免除されつつ認定が受けられる、ZEH oriented(ゼッチオリエンテッド)いう扱いもあります。

その他の扱いとして、ZEH+(ゼッチプラス)と呼ぶ、ZEHを更に上回る基準などもあります。寒冷地、低日射地域、多雪地域などでのZEH+は、Nealy ZEH+(ニアリーゼッチプラス)という扱いも可能となります。

 

3.各対策の基準

上記の各対策を満たす基準は、次の通りです。

「高断熱でエネルギーを極力必要としないこと」の基準

下の表の通り、各地域区分(※1)ごとの外皮平均熱貫流率(UA値(ユーエーチ)※2)現在の省エネ基準よりも上回ること
ZEHの断熱性能の基準

UA値は小さい方が断熱性能が高いことを示します。

現在の省エネ基準の数値と比較して、ZEHの基準は全地域でより厳しい数値が求められているのが分かります。

 

(※1)地域区分とは

国が省エネ性能の基準を定める上で、地域によって生じる年間の温度差ごとにある程度のグループに分けた区分です。同じ国内でも、冬季の影響が厳しい札幌市と比較的ゆるい鹿児島市では、求められる基準に差をつけています。実際には、同じ都道府県の中でも、市町村ごとに区分けが違う場合があるので注意が必要です。
(参考)
①概要(IBECホームページのPDFファイルが開きます。)
②詳細(IBECホームページのPDFファイルが開きます。)

(※2)外皮平均熱貫流率(UA値)とは

建物の屋内外を分ける部位、すなわち、天井(または屋根)、外壁、窓などの開口部、床(または基礎)を外皮と呼びます。外皮平均熱貫流率とは、建物から失われる熱の量を外皮面積で割った数値で、建物の断熱性(=省エネ性)を表す数値です。以前はQ値と言う指標が用いられていましたが、平成25年の省エネ法の改正以降は、代わってUA値が用いられることとなりました。ただし、建築業界では、今でもQ値は有効な断熱性能を示す目安として扱われています。
(参考)
UA値の詳しい解説

 

「高性能設備でエネルギーを上手に使うこと」の基準

空調、給湯、換気及び照明の各設備によって、現在の省エネ基準より20%以上削減できることが基準です。

 

「エネルギーを創ること」について

太陽光などによる発電システムによるエネルギー創出と、空調、給湯、換気及び照明の各設備の省エネ効果により、現在の省エネ基準と比較した削減率が100%以上か75%以上とすることが基準です。

 

4.ZEH認定の取得による優遇措置

優遇措置(補助金)が受けられる支援策は、建物と人と環境に関わるテーマであることから、国土交通省、経済産業省、環境省が取り組んでいます。

各省庁によるZEHに関する支援策のための予算
(出典:経済産業省資源エネルギー庁HP 省エネルギーについてより)

具体的には、平成30年度は、各事業において次の補助金が支給されるという施策で、補助金額は次の通りです。

ZEH支援事業(環境省)

住宅  70万円/戸
蓄電池  3万円/kwh(最大30万円)

ZEH+実証事業(経産省)(上記のZEH+(ゼッチプラス)の取得が必要)

住宅  115万円/戸
蓄電池  3万円/kwh(最大45万円)

国交省の支援策に関しては、単独のZEH支援策ではなく、地域型住宅グリーン化事業の一部にゼロ・エネルギー住宅という枠組みを設け、一戸当たり最大140万円の補助金が出る支援策があります。

ただし、建築会社の他関連業者も含めたグループを作ることや建築会社の住宅供給戸数が50戸程度未満であることなど、限られた適用条件があるので、どの建築会社でもこの補助金を申請できる訳ではない点に注意が必要です。

その他、これも適用条件が限られますが、一戸当たり90万円の補助金が出る先進的再エネ熱等導入支援事業というのもあります。

ZEHの補助金申請受付業務は、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(通称:SII)が国から委託を受けています。

補助金申請に必要な書類の作成は、ほぼ全て建築会社が用意することになりますが、厳密な申請期日があるので、活用にあたっては建築会社と密に計画を立てる必要があります。

 

5.ZEH認定取得の要否と懸念事項

ところで、住宅の取得において、このZEHという省エネ基準による認定は積極的に取得すべきでしょうか?

ZEHの認定を取得した住宅は、補助金が受けられる点では建て主には一定のメリットとなります。

しかし、冒頭で述べた通り、実際には、消費エネルギーの削減には限界があることから、最低限必要となる消費エネルギー量と自家発電で創ったエネルギー量を合算することで、「 消費エネルギー < 創出エネルギー 」となれば良しとする仕組みです。

そう考えると、外部から供給されていたエネルギーが自家発電によるものに変わっただけで、結局、温室効果ガスの削減効果は、建物を高断熱化したことによる消費エネルギーの削減分ぐらいしかないとも言えます。

また、エネルギーを創るためのシステムを太陽光発電にする場合、地震による揺れを最も増幅させる建物の最上部に数百kgの重量物である太陽光パネルが設置されることになります。それにも関わらず、許容応力度による構造計算をしないままに建築されてしまうのは問題ではないかと懸念します。

構造計算を実施すれば安全性の信頼度は圧倒的に上がるのですが、現在の建築基準法では、構造計算を実施していなくても違法に問われないことから、ほとんどの建築会社では対応していないと言う事実があります。

パリ協定と言う国際的な取組みを批准しようとする姿勢は素晴らしいことですし、補助金が支給されるのもありがたいことですが、それが建物の耐震強度という安全性に影響するのであれば、ZEH認定の取得は「我が家の安全性」をどうやって担保するか?まで考えた上で検討すべきでしょう。

 

6.我が家の最低限クリアすべき断熱基準と考える

ZEHの基準は、現在の省エネ基準を上回った性能を要求するので、この基準以上の建物を建てること自体には意味があります。

世界的な省エネ、断熱性能としては遅れをとっている日本の住宅だからこそ、今後住宅の取得を考えるのであれば、ZEHを最低限クリアすべき断熱基準とするのは正しいと思います。

それは、将来の売却などにおける不動産価値の維持と言うよりは、建てた我が家に住む方自身の快適性と健康を維持するためにクリアするもの、と言う認識でいる方が適切かもしれません。

その為には、平成25年(2013年)に改訂された現在の省エネ基準が、実際には20年も前の平成11年(1999年)の基準と実質的に変わりが無いことを考えると、パリ協定の批准を目標として策定したZEHの基準は、省エネ、健康、快適性の指標となる断熱基準と捉えるのが良いと考えます。

豆知識くん

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