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二世帯住宅 登記の種類と固定資産税に関わるメリットとデメリット

2020.2.28

二世帯住宅に掛かる固定資産税では、いくつかある登記の種類の内の一つを選ぶと、税の軽減措置を上手く適用でき、固定資産税がお得になるというメリットがあります。

二世帯住宅では、建物の構造に合わせて選択できる登記が用意されており、固定資産税や将来の相続のことを考慮して上手に選べば、賢い節税対策ができます

今回は、単世帯住宅よりも節税の選択肢が広がる二世帯住宅の登記の種類と、固定資産税に関わるメリットとデメリットについてお話しします。

二世帯住宅 登記の種類と固定資産税に関わるメリットとデメリット

 

1.二世帯住宅でできる登記の種類とは

単世帯と同様に「単独」、「共有」の登記があり、更に二世帯住宅では、これらと組合せて選択する「非区分」、「区分」という登記の種類があります。

 

単独登記と共有登記は、建物の所有者名義を単独にするか複数の共有名義にするかの選択で、どの様な形態の住宅でも適用できる選択肢ですが、二世帯住宅では、建物一棟を一戸として扱うか「非区分」登記か、世帯ごとの居住区に分けた2戸として扱う「区分」登記とするかの選択が加わるのです。

 

 

2.登記の種類を使い分けるメリット

登記の種類を上手に使い分けると、賢く節税できるというメリットがあります。

住宅建築の費用負担をする人は、単独であったり複数であったりしますが、単独の場合は単独登記、複数人の場合はその出資比率に合わせた共有登記とすることが登記の基本的な考え方です。その上で、実際には、贈与税や相続税の影響を考慮しながら実際の出資比率とは異なる比率で共有名義の登記をすることが行われています。更に、二世帯住宅の場合、登記の種類によっては固定資産税軽減措置の適用の際、単世帯住宅よりも大きな節税ができるというメリットになる場合があります。

 

 

3.固定資産税とは

所有する土地と建物に対して毎年掛かる税金で、市区町村に納めます。

標準税率は、課税標準額×1.4% で、軽減措置を適用できる場合は、この税額が減額されます。

 

土地や建物に関する軽減措置には、以下のものがあります。

 

土地に対する固定資産税の軽減措置

①小規模住宅用地(200㎡以下の部分)の場合

→ 課税標準額を1/6として扱う

②一般住宅用地(200㎡を超える部分)の場合

→ 課税標準額を1/3として扱う

 

建物(木造2階建)に対する固定資産税の軽減措置

①新築住宅で120㎡までの部分について

→ 固定資産税を1/2とする(3年間)

 

 

4.区分登記による固定資産税の節税効果

固定資産税軽減措置の内容は、単世帯住宅でも二世帯住宅でも全く同じです。しかし、二世帯住宅だけの選択肢の一つである「区分登記」をした建物に関しては、住宅一棟を2戸として数えるので、軽減措置が各住戸ごとに適用されることになります。つまり、登記の種類を変えるだけで、二世帯住宅としては1棟であっても、2戸分の節税効果になるという事です。

 

では、同じ二世帯住宅を、非区分登記で1戸として扱った場合と、区分登記で2戸として扱った場合の固定資産税を比べてみましょう。ここでは、土地よりも節税効果の大きい「建物の固定資産税」で比較してみます。

仮に、土地と建物の条件を以下の様に想定します。

 

■土地面積 : 230㎡(約70坪)

■建物 : 各階床面積83㎡(約25坪)で延べ床面積166㎡(約50坪)の総二階建(上下階で別世帯が居住し、世帯同士は親子関係)

 

また、内容が全く同じ建物であっても、固定資産課税標準額は自治体によって様々ですので、ここでは仮に建物3000万円、土地2000万円とします。固定資産課税標準額は、建物の建築費や土地の購入価格とは異なるので注意してください。

 

軽減措置を適用した建物の固定資産税の比較

まず、軽減措置を適用しない本来の固定資産税額を示します。

建物課税標準額×税率ですので、3000万円×1.4%=42万円が本来の固定資産税額です。

 

(1)1戸扱い(非区分登記)の場合

建物課税標準額×延べ床面に対する120㎡までの床面積の割合×税率×軽減措置

3000万円×120㎡/166㎡×1.4%×1/2≒15万2000円・・・①

 

建物課税標準額×延べ床面に対する120㎡を超える床面積の割合×税率

3000万円×(166-120)㎡/166㎡×1.4%≒11万6000円・・・②

 

∴(1)の建物固定資産税額は、毎年、①+②=約26万8000円・・・③

 

本来の固定資産税額(42万円)との差額は約15万2000円で、これが3年間適用されるので、最終的には、区分登記としなくても約45万6000円の節税ができます。

 

(2)2戸扱い(区分登記)の場合

延べ床面積(166㎡)に占める各住戸の床面積(83㎡)は1/2ずつとなるので、各住戸に充てる課税標準額も1/2ずつの1500万円となり、これが2戸分あるということになります。軽減措置は建物の床面積120㎡までの部分に適用されるので、床面積が83㎡の各戸は、一戸分の床面積がまるごと軽減措置の対象となります。

 

各住戸の建物課税標準額×税率×軽減措置

1500万円×1.4%×1/2=10万5000円・・・④

 

∴(2)の建物固定資産税額は、毎年、④×2戸分=21万円・・・⑤

 

本来の固定資産税額(42万円)との差額は21万円で、これが3年間適用されるので、最終的には、区分登記とした建物は63万円の節税ができます。

 

この通り、新築住宅の建物固定資産税額は、非区分、区分に関わらず、軽減措置の適用によって45万円以上節税することができます。ただし、区分登記とした建物では、より多い(今回の試算では約17万4000円の増額)63万円もの節税ができることが分かります。

 

 

5.区分登記とする際の注意点

二世帯住宅で採用する登記の種類で最も注意すべき点は、相続が発生した際の相続税の支払いについてです。

ここまで見てきた通り、二世帯住宅を区分登記することによるメリットは、3年間で大きな節税ができることです。しかし、もし、この二世帯住宅の建つ土地が被相続人名義である場合には、十分に検討した上で、どの登記の種類を選ぶか慎重に決めなければいけません。

なぜなら、相続時の相続税に大きな節税効果が期待できる「小規模宅地等の特例」という制度が活用できるかどうかに関わるからです。

この制度は、土地を相続する際、一定の条件を満たせば、その土地の評価額を80%減額するというもので、場合によっては、相続時の基礎控除(3000万円+(600万円×相続人の数))によって、相続税そのものが不要となることもあり得ます

ところが、区分登記とした二世帯住宅の場合、条件不適合とされ、制度の適用が認められないので、十分な注意が必要です。

以下は、小規模宅地等の特例に定める適用条件です。

 

【小規模宅地等の特例に定める適用条件(相続人は配偶者以外の親族の場合)】

・1棟の同じ建物に親子で住んでいる

・その建物の土地は親名義である

・子は無償で親からその建物を借りている(家賃は発生していないこと)

・相続の発生から相続税の申告期限(※)まで、引き続き2世帯住宅に所有者として居住している
(※相続発生から10か月間)

 

これらの内、「1棟の同じ建物に親子で住んでいる」という条件に、区分登記した建物が不適合と判断されます「区分登記では確かに2戸扱いだが、建物としては1棟ではないか!」と言いたいところですが、これは通用しません。

 

従って、相続税を考えた際の節税対策として、固定資産税の節税よりも小規模宅地等の特例の適用による相続税の節税の方がメリットがあると考えられるのであれば、二世帯住宅の登記は、区分登記以外にされることをお勧めします。

 

 

6.土地の固定資産税の軽減措置の運用にはバラつきがある

土地の固定資産税軽減措置の適用に関しては、多くのHPに記載されている内容と実際の自治体での運用では違っている場合がある様でしたので、念の為に記載しておきます。

 

多くのHPでは、土地の固定資産税の軽減措置も、二世帯住宅を「区分登記すれば」2戸分適用できると記載されています。「区分登記が土地の固定資産税節税のメリットになる。」との解釈ですね。ところが、今回、名古屋市の資産税課に確認してみたところ、「実質的に2戸と扱える二世帯住宅であれば、登記の種類に関わらず、土地の固定資産税の軽減措置は2戸分適用する。」との事でした。そうなると、固定資産税軽減措置の適用による土地の節税効果は、建物の非区分、区分という登記の種類に影響されないという事になりますね。

 

また、非区分登記の二世帯住宅を2戸と扱うかどうかは、資産税課が建物を調査した判断に依るので、1戸と判断された場合、土地の固定資産税軽減措置は、当然1戸分の適用になります。ただ、今回の条件で見れば、1戸扱いの場合と2戸扱いの場合の土地の固定資産税の差額は1年当り約6000円で、30年掛けても20万円に満たない程度です。従って、新築した二世帯住宅を区分登記とするかどうかは、建物の固定資産税の軽減措置による節税効果が大きいかどうか、かつ、相続時の相続税支払いに困らないかどうかで判断するのが良いと思います。

 

 

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