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暖かい家と健康への影響に関する国の調査結果

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冬、暖かい家で過ごすことができれば、身体的にも精神的にもストレスがなく快適な気分になれますね。
暖かい家は快適と言う感覚的なものだけではなく、実際に健康でいられるという実益ももたらしてくれます。
国は、2014~2019年まで6年の歳月をかけ、家の断熱改修等による居住者の健康への影響を調査してきました。
最新の調査結果では、単に暖かいだけでなく、床に近い部分の温度が健康に影響することもはっきりした様です。
家の高断熱化はその分費用が掛かりますが、光熱費の削減で回収でき、医療費も抑えます。その上で、お金には代えがたい健康ももたらしてくれるとあれば、豊かな人生を過ごすためには安い投資と言えます。

暖かい家は健康に良い影響がある

 

1.国からの発表内容

2019年1月24日国土交通省のHPにて、「断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)」が発表されています。

調査には、医学・建築環境工学の学識者からなるスマートウェルネス住宅等推進調査委員会があたっており、建築業界と医学界が協同で行っている長期の調査です。

断熱改修を予定する住宅に居住する4,131人(2,307軒)について改修前の健康調査を行うとともに、その住宅の断熱改修を実施した1,194人(679軒)について改修後の健康調査を行った。

今回の発表によると、これまでに明らかにされてきた知見を更に裏付けるデータの他、床に近い部分の温度が健康に影響することも新たに分かってきたということです。

これだけでは、「そんなの当たり前じゃん!」と思うかも知れませんね。しかし、大切なのは実際のデータによる数値的な差異をちゃんと知ることだと思います。

それによって、自分の家を高断熱化する意義が明確になり、快適性や健康であることを実感し、光熱費や医療費の削減が家計にもたらす恩恵にも意識を向けやすくなるからです。

 

2.明らかになってきた知見

今回の発表では、以下の点について明らかになりつつあることが示されました。

1. 室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が小さい

室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい

上図左側の棒グラフは、居間平均室温が冬18℃以上・夏26℃未満の住宅(室温安定群・青グラフ)、冬18℃未満・夏26℃以上の住宅(室温不安定群・赤グラフ)で調査した季節ごとの起床時の血圧差です。

室温が不安定な家では、夏と冬での差が大きく、室温が安定した家では小さいことが分かります。

図の右側の折れ線グラフからは、室温が安定している家では、一年を通して最高血圧、最低血圧ともに安定していることが分かります。

2. 居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で高い

居間と寝室の室温について
①両方とも18℃に保つ場合
②居間18℃、寝室10℃の場合(部屋間温度差が大きい)
を比較した場合、起床時の最高血圧が2mmHg高いという結果が出ました。

また、床上1mの室温が1℃低下した場合よりも、床近傍の室温が1℃低下した場合の方が、血圧への影響が大きいという結果から、足下の温度コントロールが重要だという事が分かりました。

血圧に対する床上1mと床近傍の室温の影響
血圧に対する床上1mと床近傍の室温の影響

3. 断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が低下

断熱改修後の居住者の起床時の最高血圧が 3.5mmHg、最低血圧が 1.5mmHg低下していました。

断熱改修後に居住者の起床時の血圧が改善

上記の様に、最もポピュラーな健康指標である血圧に関しては、高断熱の家の方が年間を通じて安定した数値を示すことが明らかになりつつある事が分かります。

実際には、過活動膀胱症状が緩和するなどの結果も出ています。これは、夜中にトイレに起きなくて済むなど精神的なストレスの緩和にも貢献します

その他、住宅内での活動が増加するなど身体的な健康を自然に維持しやすいことも明らかになりつつあります。(下記「4.その他の知見」参照)

4.その他の知見

・室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が多い。
・就寝前の室温が低い住宅ほど、過活動膀胱症状を有する人が多い。
・断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅では、過活動膀胱症状が緩和する。
・床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が多い。
・断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では、住宅内身体活動時間が増加。

 

3.最後に

この様に、住宅の高断熱化は居住者の健康に有益な結果をもたらす事が明らかになってきています

住宅に関しては、現時点ではどの先進国よりも遅れをとっている日本ですが、国もこのままで良いとは考えておらず、この調査の様な地道な活動も続けています。

ただ、2018年の暮れには、2020年の省エネ住宅の義務化が見送られる事が決定するなど、実際の施策は行きつ戻りつしており、高気密高断熱を始めとした省エネや健康を増進するための住宅建築改革の歩みはまだまだ遅いというのが現実です。

建築会社によっては、省エネや気密、断熱性能を落としてでもデザインや価格を優先するところもあります。また、知識や技術的についてこれない建築会社も存在し、その様な建築会社にとっての省エネ住宅の義務化は、ただのコストアップとしか捉えられないでしょう。

その様な建築会社は、省エネ住宅の義務化によって廃業する可能性もあり、国は、景気を後退させてしまうかもしれないという懸念が今回の見送りの理由のひとつとして公式に述べています。

住宅建築において、何を重視するのかは建築主と建築会社の考え方なので、良いも悪いもありません。

しかし、多くの方にとっては一生に一度の大きな決断を迫られるものであり、建築後は何十年も自分たちの暮らしを支える器であると認識し、その上で、住宅には何が一番大事なのかをじっくり検討すれば、答えは自ずと明らかになると思います。

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