もし家を建てるなら

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典型7公害に入る音漏れの問題

みなさんは、戸建住宅を新築する上で、建物に出入りする音漏れはどのくらい気になりますか?

音漏れの問題は、国が環境基本法という法律で定義する7つの公害(典型7公害)の一つ「騒音」として扱われています。

事実、公害等調整委員会に寄せられる苦情で、騒音問題は3年連続でトップになっています。

ところが、建築会社の多くは騒音対策として防音性能をそれほど重視していないところが意外と多い様です。

せっかく戸建で暮らすなら、集合住宅では得られない落ち着いた暮らしを実現したいものですね。低い防音性能のおかげで余計な悩みの種を抱えてしまわない様、しっかりと対策を講じたいところです。

 

1.騒音公害は3年連続トップ

典型7公害とは、環境基本法に定める次の7つです。

①大気汚染
②水質汚濁
③土壌汚染
④騒音
⑤振動
⑥地盤沈下
⑦悪臭

これらは毎年、総務省管轄の公害等調整委員会で調査した結果が発表され、平成28年度公害苦情調査では騒音公害が3年連続でトップとなっており、全体の約33%を占めてします。
(クリックで拡大↓)

(土壌汚染と地盤沈下は、苦情件数が少ないので未記載です。)

典型7公害全体で見るとここ10年ほど減少傾向であるのに対し、騒音だけで見ると逆に上昇傾向です。

ご近所づきあいが希薄になるなど時代の変化とともに、音に対する感覚も変わってきた様です。

 

2.騒音の原因

同じ音でも、自ら発したり求める場合には例え大音量でも苦にならないのに、自分以外の場合となると苦痛に感じるなど、音の問題は難しいものですね。

ここに、騒音を定量的、定性的なものとして定義しづらい原因があります。

苦情として寄せられる騒音は

・機械・工具の作動音モーター音
・自動車の吸排気・走行音
・警笛
・ジェット機の爆音
・犬の咆哮
・カラオケ
・拡声器音
・建設作業音
・ボイラー音
・共同住宅の隣接室からの排水音

など多岐に渡ります。

共同住宅の排水音以外は戸建住宅でも騒音となりえるもので、これらの多くは普段の生活でも耳にする音ですね。

この中で、意図的に軽減できるとすれば「人の話し声」ぐらいじゃないでしょうか。

となると、公害とされるほどの騒音であっても、音量を軽減したり、原因を排除することは困難です。

 

3.防音対策

音の軽減や原因の排除ができないとなると、戸建住宅ができるのは防音対策を講じることです。

戸建住宅でできる防音対策は、遮音と吸音という方法に分けられます。

音は、空気中を伝わって出入りする空気伝播と、物質(住宅で言えば屋根材や壁材)を伝わって出入りする固体伝播があります。

防音対策とは、遮音や吸音によりそれぞれの伝わり方(伝播)を妨げることです。

 

3-1.遮音とは

音の伝達経路を遮る(さえぎる)ことによる防音方法で、二つの考えがあります。

一つは、隙間を無くすことです。住宅の場合、気密工事がこれに当ります。

気密とは隙間の無さのことで、隙間が無けば空気が出入りせず、空気を伝わって移動する音を妨げます。

住宅の部材であげるなら、アルミサッシと樹脂サッシでは気密性能にかなりの差があります。

木造の場合、注文住宅であれば最近の建物は全般的に高気密化が進んでいるので、隙間からの音が気になることはまず無いでしょう。ただし、建売住宅や注文住宅でもローコスト系の場合は、実際に確かめた方が良いです。

二つ目は、高密度の材料を用いて音を跳ね返す方法です。

高密度=重いということです。振動によって伝播する音は、重い材料では振動せずに跳ね返します。

例えば、屋根の材料なら、雨が降った時、金属板の屋根と陶器瓦の屋根とでは室内に伝わる雨音の大きさがかなり違い、軽い金属板の屋根の方が大きい音がします。

ただし、これが外壁の場合、遮音のために外装材を重くするのは考えものです。

なぜなら、遮音性能を上げようとすると耐震性能が悪くなるというジレンマがあるからです。

2階建て木造住宅の一般的な大きさ(30~40坪程度)の建物の外装材のほとんどは、大半がセメントからなるサイディングと呼ばれる材料で、1住戸当り3~4トン(!)という結構な重みがあります。

遮音性能を上げようとしてもっと厚いサイディングにして重量を増すと、建物全体の重量がさらに重くなり、建物の耐震性を弱めてしまいます。(実際、そんなに厚いサイディングがないというのも事実です。)

 

3-2.吸音とは

音の振動エネルギーを、熱エネルギーに変換吸収してしまうことで音の伝播を止める方法です。

例えば、綿(わた)布団にくるまって相当な大声で叫んでも、すぐ近くにいる別の人同士は、十分に会話できるほど声の音量が軽減される様な現象です。

吸音材の種別としては、多孔質材料、板(膜)状材料、有孔板の3種類があります。

3-2-1.多孔質材料

材料中に多数の空隙や連続した気泡がある材料です。
建築材料で言えば、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム、セルロースファイバーなどです。

3-2-2.板(膜)状材料

剛壁との間に空気層を設けた板(下図の桃色)に音が入ると、板の内部摩擦によって音のエネルギーが熱エネルギーとして吸音される仕組みです。

(イプロスHP「吸音の仕組みと吸音材料:防音の基礎知識2」より)

建築材料で言えば、合板、石こうボード、耐震パネルなどです。

3-2-3.有孔板

字の通り、孔の開いた板で、ある周波数の音が入ると共鳴振動して熱エネルギーとして音を吸収します。

学校の音楽室で良く見かけましたね。

 

4.防音効果は施工精度も影響する

本格的な防音室でなくても、防音効果はやはり施工精度に左右されます。

例えば、吸音効果のある多孔質材料の建材として先にあげた、グラスウール。

簡易な施工性にも関わらず、正確に設置されているとは言えないことが多く、吸音効果が発揮されないケースが非常に多いと言う事実があります。

※↓注意。音が出ます。

 

↓セルロースファイバーの詳細はコチラから。

 

5.結果が大切なら、防音工事は標準化しておく

戸建住宅の建築では、専用の防音室ほどではなくても、適切な材料の組合せと正確な施工でかなりの防音効果を実現できます。

しかし、実際の性能は材料や建物のカタログの数値通りとはいかないのが現実です。

最後はやはり、できあがってからの結果でしか分かりません。

だからこそ、「いつも通り」建てれば、ちゃんと防音効果が出せる様、工事の標準化が必須なのです。

実際、弊社ではお引渡し前の全住戸で、防音測定を実施し、その結果もお渡ししていますが、これも、自社の定める防音性能を実現できる様、あらかじめ材料や施工方法を標準化しているところに依っています。

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