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住宅建築のモジュール ミリ、メートル、寸、尺など

我が家を持とう!と考えた時、間取りの計画を進める上でモジュールと言う考えを知っておくと便利です。

モジュールとは、その計画において採用する「基本寸法」のことで、住宅建築の場合、親しみのあるメーター単位と、寸(すん)、尺(しゃく)など日常生活では馴染みの薄い尺貫法による単位が混在しています。

中には初対面のお客様にも「ウチは4寸の柱で~」とか話してくる建築会社の人もいて、聞いてる方としては「何だよ、その『寸』って!」と内心では困惑しているかも知れませんね。

今回は、スムーズに間取り計画を進めるのに覚えておくと便利なモジュールについてまとめましたので、どうぞご覧ください。

住宅建築のモジュール ミリ、メートル、寸、尺など

 

 

1.モジュールとは

先に書いた通り、モジュールとは「基本寸法」のことで、その計画を効率良く進めるためにお互いの共通認識として定めた単位です。

例えば、「ここはもう1マス広げよう。」と言った場合、その1マスが何ミリ(またはセンチ、メートルなど)なのかをいちいち確認しなくてもお互いに理解できるので、話を早く正確に進められるというメリットがあります。

住宅設計の場合、1マスは910mmである場合が多く、「廊下を1マス伸ばす。」と言うと910mm、つまり91cm伸ばすと言うことが共通見解になる訳です。

 

 

2.異なるモジュールの単位

ところが、住宅建築では少しだけやっかいな事があります。それは、このモジュールに異なる2つの単位を用いていることです。

一つは、誰でも使っているメーター単位で、もう一つは尺貫法(しゃっかんほう)と言われる昔の日本で多用されていた単位の内、長さを表す寸(すん)、尺(しゃく)、間(けん)です。

建築業界では、この2種類の単位が自由自在に行き来する会話が飛び交い、「じゃ、ここは455mmで。」と言うと、「了解!尺5(=1尺5寸)ですね。」など、一般の方には、頭の中で単位変換してる内に会話について行けなくなる様なことが起こります。

モジュールを理解して設計の打合せをする

 

 

3.メートル法と尺貫法の換算

住宅建築の計画を進める上では、イヤでもこれらの単位に慣れる必要があります。

そこで、まずは住宅建築のモジュールを覚えてしまいましょう。

 

住宅のモジュールは910mmが最も多く、これが基本中の基本です。

 

これを尺貫法で換算すると、3尺となります。つまり、1尺は303.333・・・mmと、割り切れません。これは、本来1尺=303mmだったものが、住宅建築のモジュールである3尺をメーターに換算すると909mmとなり、この数値の使い勝手が良くなかったのか、いつからか910mmが基本モジュールとなってしまったことが原因の様です。

ちなみに、3尺を尺貫法の他の単位で表すと、30寸や半間(はんげん)と言い換えることができます。

あれ?10寸で1尺なら10尺で1間?それなら、3尺は1/3間では?と思った方。・・・するどい!(笑)

メーター法では1mmの10倍が1cm、1cmの100倍が1mとなり、1mの1000倍が1kmと単位が変換されますね。しかし、尺貫法では、1寸の10倍が1尺ですが、その次はなぜか1尺の6倍が1間(けん)でなんです。こういった事も住宅建築の単位を分かりにくくさせていますね。

 

 

4.1間の長さの覚え方と柱の中心線という盲点

1間の長さを覚えるのによく持ち出されるのが、畳の長手方向(大人が両手を伸ばしたよりちょっと大きめ)です。

これはこれで分かりやすくて良いのですが、少し戸惑うのが、図面の数値と実際に見た時の長さに違いがあることです。

図面上では1間=1820mmなのに、畳の長手方向の長さ1760mmとほぼ同じと考えるとすれば、数値的には10cm以上も差があることになります。住宅設計で10cmも違ったら本当は大変です。

 

しかし、これには大丈夫な理由があります。それは、設計図と実際の建物では、1間として見る場所が違うからです。

例えば、間取りの計画で、部屋に設ける開口(窓や扉など)巾を「1間にします。」と言うと、実際の開口の巾ではなく、その開口部の両端にある柱の中心線間距離を1820mmにするという事です。つまり、実際の開口巾は柱の巾分だけ狭くなった1650mm前後となるので、1間(1820mm)を畳の長手方向程度と考えても大丈夫と言うことです。(下図参照)

同じ1間でも実寸が異なる例

図では、田舎間の畳の長手寸法が1760mmだから、畳も建具より10cmも大きいじゃん!と気づいた方。するどい!(笑)

しかし、厳密に言うと、建具にはそれよりも若干大き目の建具枠と言う材料をセットで取り付けるので、この枠の厚みを含めて考えると、畳の長手寸法と「まあ近いかな。」と言うサイズになり、1間を畳の長手寸法としても問題無いってことなんです。

 

しかし、建築会社の人は「そのなの当たり前じゃん!」と言う前提でお客様にお話しするものだから、実際に完成した建物を見て「あれ、何か狭い?イメージが違うー。」と言うことが起こったりします。それでも、「いえ、設計図通りです。ほら、1間1820mmでしょ?」と柱芯間寸法を測りながら言われれば、反論できません。

小さなことに思えますが、「柱芯で測って」と言うのは盲点になりがちなので、要注意です。

例えば、敷地境界線と建物との間を示す寸法が850mmとあって、これなら後から給湯器をエコキュートに変更してもギリギリ入ると思っていたら、実寸(境界線の塀の内側から外壁の外面の距離)では10cm以上も狭くて実は設置できなかった!なんて事があります。

 

 

5.ついでに坪のお話し

せっかくですから、縦1間、横1間の空間面積を1坪と言うことも覚えておきましょう。

計算上、1.82mX1.82m=3.3124㎡です。しかし、1坪タイプの浴室の面積は変わります。なぜなら、浴室の壁内から壁内が実際に使える空間なので、1.6mX1.6m=2.56㎡となります。計算上、2割以上小さくなります。空間の広さを把握する際には、この坪と言う単位には注意が必要です。

 

余談ですが、尺貫法の単位には貫(かん)がありますが、これは重さの単位で、住宅建築では用いません。

 

 

.尺モジュールとメーターモジュール

住宅建築のモジュールは910mm(3尺)が基本とお話ししましたが、最近では1000mm(1m)を基本単位とするメーターモジュールを採用する建築会社もあります。

メーターモジュールは、バリアフリーなど空間的な余裕を必要とする際には、基本寸法自体が広いので設計しやすいと言うメリットがある一方、同じ1坪でも尺モジュールの約2割広いので、建物全体が大きくなります。そうすると、建物金額が上がったり、建ぺい率や容積率がオーバーしてしまう場合があるなどのデメリットがあります。

 

また、尺モジュールを採用している建築会社が多いものの、その尺という単位の換算が一定ではなく、地域による差があると言う事実があります。

尺単位をメートル単位に換算する際は、3尺=910mmが最も一般的ですが、本来の尺の長さである303mmで換算して、3尺=909mmとする建築会社や関西地区では985mmとする建築会社もあります。

この地域性による尺モジュールには次の様な独特の名称がつけられています。

最も普及している尺モジュールは田舎間(関東間、江戸間)の910mmですが、これでさえ、同じ呼称でも909mmで換算するところがあり、更に同じ寸法でも様々な呼称があったりします。この尺モジュールは、この他にも中京間、九州間と呼ばれる別の寸法のモジュールも存在しています。

 

モジュールの違いによる床面積の違い

この図の通り、田舎間(関東間、江戸間)と比較すると、他の2つのモジュールは面積が大きいことが明らかに分かります。しかし、呼称の上では3つとも4.5畳であり、2.25坪なのです。そして、この面積の差は、そのまま金額の差となります。

 

 

 

7.最後に

住宅建築のモジュールについてのお話し、いかがでしたでしょうか?

実際には910mmモジュールを採用する建築会社が多く、これを3尺とか半間(はんげん)などの尺モジュールの単位で扱うだけなので、一般の方でも建築会社と話をしている内にすぐに慣れます。ところが、地域性による換算値の違いがあったり、稀ですが本来の909mmを採用していたりするところがあるので、この場合は、今回の事を理解しておくと混乱しなくて済みます。

色々な会社で話を聞くうちに、その会社の採用モジュールの認識が違っていて、予算オーバーした!、面積オーバーした!なんて事にならない様にしてくださいね。

 

 

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