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地震の被害を拡大する四号特例の木造住宅

2016年4月に熊本県で発生した地震による木造住宅の被害は、建築基準法のある特例が大きな問題であることを、建築業界に改めて突き付けました。

それは、建築基準法第6条の4による規定、一般に四号特例と呼ばれているもので、この特例が適用できる木造住宅は構造計算を行わなくても合法となります。しかし、実際には先の地震で、想定に反して破壊してしまう建物があり、四号特例が被害の拡大につながったと言われています。

今回は、この四号特例の概要と課題についてお話しします。

地震の被害を拡大する四号特例の木造住宅

 

 

1.四号特例とは

建築確認を申請する際の申請書類を簡略化できる、建築基準法に定められた特例です。書類をある程度省略させることで、年間に提出される膨大な量の業務に掛ける時間を抑え、手続きを迅速化し、建物品質も保つという合理的な考えで定められたものです。しかし、現実は適用建築物の「構造計算をしなくても良い」という拡大解釈がはびこり、四号特例建築物の耐震性が安全なものとは言い切れない状況が続いています。

 

 

2.構造計算をしない木造住宅

一般の方には信じられないかも知れませんが、2階建以下で延べ床面積が500㎡以下(実際にはもう少し条件があります。)の木造建築物は構造計算をせずに建てられています。先の通り、これは違法ではありません。

延べ床面積500㎡と言うと1階と2階の床面積の合計で約150坪です。都市部の住宅が30坪前後、地方などでも大きくて60~100坪程度と考えると、全国の平屋と2階建の木造住宅のほぼ全てが建築基準法上構造計算の義務が不要とされる規模であり、そのほとんどが実際に構造計算をせずに建てられていると言うことです。

 

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3.四号建築物と四号特例

これらの住宅は、建築基準法第6条第1項第四号の規定に従った建築物なので「四号建築物」と呼ばれます。そして、別の条文「建築基準法第6条の4」には、その四号建築物に特例を適用する条文があります。これは、四号建築物の安全確認に関する書類を役所への申請(確認申請)に付けなくて良いと言う内容です。つまり、「本来は提出すべきだけど、四号建築物は特別に無しでもイイよ。」と言う特別な例と言うことで、四号特例と言われます。

 

 

4.構造安全性の確認は法律で定められている

例え四号建築物であっても構造的な安全性を確認する義務はあります。これは、建築基準法第20条に規定されており、具体的な内容は建築基準法施行令によって規定されています。この施行令による規定を「仕様規定」と言います。

この仕様規定では、構造計算(=許容応力度計算)とは比較にならないほど簡易な方法で安全を確認する方法を規定しており、具体的には壁量計算、四分割法、N値計算と言う方法です。

 

ところが、この法律で定められている仕様規定による構造の安全性確認でさえ、先の四号特例によって、本当に実施しているかどうかは分からなくなっていると言う実態があります。この四号建築物が耐震性を確保しているかどうかを不安視する声は、実はかなり以前からあったのですが、どう言う訳か国はそこに着手することなく済ませてきました。そして、先の熊本地震で以前からの指摘がついに現実の被害として露呈してしまったのです。

 

 

5.構造安全性の確認方法

構造安全性の確認方法として数種類の計算方法があり、それらは法令によってどの様な建物にどの計算方法を用いるかが定められています。

建物の構造安全性の確認方法

図の通り、四号建築物は最も確認結果の信頼性が低い「③仕様規定」による確認でOKと言うことになります。そして、その上位の確認方法として「②性能表示計算」がありますが、ここまでなら、(数学ではなく)算数の得意な中学生ならできてしまう計算レベルです。これと比べ、構造計算(許容応力度計算)は、例え1級建築士であっても構造担当でない限りはとても手に負える様なものではないほど大量で複雑な計算を行ないます。実際には、全部材のサイズ、樹種、接合部について力の流れ方を検証するもので、一般的にはこの業務だけで仕事をしている専門会社に依頼します。(大手などは社内に専門部署があったりします。)

 

出来上がる書類の量も比較にならず、構造計算では木造住宅一軒分でも100ページ以上に及びますが、性能表示計算以下の方法では、A3サイズなら1、2枚で済みます。

 

ちなみに、先の地震では、構造計算以外の計算によって「限りなく3に近い耐震等級2」と言う高い耐震性能を取得した新築が倒壊し、耐震性能を取得しなかったものの構造計算をした建物の被害がほぼ無かったと言う事実があります。

 

ここまでで、木造住宅と言えど、本当は結果の信頼性が最も高い構造計算を実施すべきだと言うことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

 

6.仕様規定すら守っていない可能性

ここで注意すべきは、一番信頼性の低いこの仕様規定による計算すら実施しているかどうかを分からなくしているのが、四号特例だと言うことです。

 

くどい様ですが、四号特例は図書の省略であり計算の省略ではありません。しかし、確認申請を役所に提出する際、四号特例によって壁量計算等の計算書や関連図書は提出しないので、建築士でさえ計算は省略して良いと解釈し、現在も多くの木造住宅が耐震性能不足や耐震性能が不明確なまま建築されているというのが現実です。

 

 

7.それ構造計算じゃありませんから

住宅を新築しようとする時、建築会社への構造の安全性について質問に、驚くような勘違いをした回答がある事をお伝えします。

 

それは、「ええ。ちゃんと構造計算してますよ。」という言葉です。

 

上の図の通り、構造計算とは、許容応力度計算を指し、それがどれ程手間と時間が掛かる高度なものかはご説明した通りです。ところが、大半の木造住宅では、「仕様規定」である壁量計算か四分割法による耐震性の確認しかされていません。そして、不勉強な社員はこの仕様規定による計算を構造計算だと勘違いしている場合があるのです。(実際、見学会に参加されたお客様からそのお話しを伺うことがあります。)

 

どうでしょうか?

人生の半分近い年月を費やすローンを組み、ものすごい高額な資金を投入して実現する夢のマイホームを、知識不足の建築会社の人の間違えた構造計算の話しを鵜呑みにして建ててしまったとしたら・・・。

 

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8.最後に

構造計算についての質問をする際は、しっかりと「許容応力度計算をしていますか?」と尋ねる様にしましょう。その上で、計算結果も見せてもらえれば安心です。もしペラペラの計算書を見せられて、「ホラ、ちゃんと計算してますよ。」と言われたら、「それ、構造計算じゃありませんよね!?」と伝えてあげてください。もちろん、その後も打合せをそこで進めるかどうか見極める必要も出てきます。

 

アイジースタイルハウスでは、構造計算に対応させて頂いております!

当たり前ですよね。また、当社では物理的にも合理性を追求した構造計画「ブロックプラン」も実施しております。

 

失敗が許されない大切な我が家の建築。特に耐震などの安全性は、建築業者に任せっぱなしにせず、遠慮なくその対策や根拠を聞くべきです。

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